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第413条 受領遅滞

   ↑  2020/11/27 (金)  カテゴリー: 債権編
おはようございます(*^▽^*)管理人の佐紀です♪

今日は民法第413条の受領遅滞について考えていきましょう☆

受領遅滞というのは、債務を履行することについて債権者の協力が必要な場合で、債務者が債務の本旨に従った弁済提供をしたにもかかわらず、債権者がその受領を拒否したり、債務の履行を受けることができす履行が遅延していることをいいます♪

民法第400条では特定物の引渡しの場合には善管注意義務が規定されていますが、受領遅滞が生じた場合は民法第413条より自己の財産におけるのと同一の注意義務に軽減されます(*^▽^*)
民法第400条(特定物の引渡しの場合の注意義務)
債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
「※ちなみにですが、善管注意義務が要求されるものとして、他に留置権者や質権者、使用貸借の借主、賃借人、有償や無償の受任者などありますし、自己の財産におけるのと同一の注意義務が要求されるものとして、親権者や相続放棄、限定承認などありますので、今度詳しくご紹介しますね♪」

そして、受領遅滞が成立するための要件として、債務の本旨に従った履行の提供が必要になりますが、受領遅滞には履行が可能であることが前提となっていますので、もし、履行不能と評価されるときは、受領遅滞としてではなく履行不能として処理されることになりますので併せて覚えておきましょう♪
→第493条 弁済の提供の方法の記事を読む。

そして、受領遅滞の効果としては、履行遅滞の責任を免れることになりますので、遅延利息や違約金を請求されず、債権者は契約を解除することができません(*^▽^*)そして、債務者は供託することができますし、もし供託に適しない物等の場合には裁判所の許可を得て弁済の目的物を競売に付し、その代金を供託することができます♪
民法第497条(供託に適しない物等)
弁済者は、次に掲げる場合には、裁判所の許可を得て、弁済の目的物を競売に付し、その代金を供託することができる。
➀その物が供託に適しないとき。
➁その物について滅失、損傷その他の事由による価格の低落のおそれがあるとき。
➂その物の保存について過分の費用を要するとき。
➃前3号の掲げる場合のほか、その物を供託することが困難な事情があるとき。
また、受領遅滞中の履行不能の場合、履行不能は債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなされますので、ここで民法第413条の2を見ておきましょう☆☆
民法第413条の2(履行遅滞中又は受領遅滞中の履行不能と帰責事由)
Ⅰ債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなす。

Ⅱ債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなす。
それでは条文と判例を見ていきましょうか(*^▽^*)
Ⅰ債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その債務の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は履行の提供をした時からその引き渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足りる。

Ⅱ債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないことによって、その履行の費用が増加した時は、その増加額は、債権者の負担とする。
↓関連判例↓

建物の賃貸人が現実に提供された賃料の受領を拒否した場合、その後の賃料不払いを理由とする契約解除のためには、賃料支払いの催告だけでは足りず、以後賃料を提供されれば確実にこれを受領すべき旨を表示する等、自己の受領遅滞を解消させるための措置を講ずる必要がある。(最判昭45.8.20)

債務者が債権者の受領遅滞を理由として契約解除することは、特段の事由のない限り、許されない。(最判昭40.12.3)

受領遅滞の場合は、債務者は約定利息の支払いを免れる。(大判大5.4.26)



受領遅滞の法的性質について2つの考え方があります♪

1つは、権利を行使することは債権者の権利であって義務ではないと考え、債権者には受領義務はないとする法定責任説と、債権者は受領する義務を負い、受領しないことによって債務不履行になるとする債務不履行責任説の2つがありますが、この論点については今度詳しい記事を掲載しますね♪

1つだけ簡単にご紹介しておきますと、もし債務不履行責任説を採用する場合、債権者には受領義務が発生するわけですから、受領遅滞が生じれば債務者からの損害賠償請求が可能となりますし、契約を解除することもできます(*^▽^*)

しかし、請負契約で注文者が目的物の引き取りを遅滞していたとしても、特段の事情がない限り、請負人は右請負契約を解除することはできないとした判例がありますので併せて確認しておきましょう♪(最判昭40.12.3)

それでは最後に過去問を見ておきましょう♪正誤は下にあります♪
【問題1】甲は、乙との契約により、乙が丙に対して負っている金銭債務の履行を引き受けた。乙・丙間に、債務の履行は乙のみがする旨の特約があるときは、丙は、甲がする弁済の受領を拒絶しても、受領遅滞の責任を負わない。「平成3年度」
【問題2】受領遅滞の法的性質は、債務者の責任を軽減するために法律が特に認めた責任であるとする見解に立った場合、受領遅滞が成立するためには、債権者の責めに帰すべき事由により受領を拒絶されたことが必要である。「平成2年度」

【問題1】〇

弁済は原則として第三者がすることができますが、当事者が反対の意思を表示していたときは、第三者が弁済しても、その弁済は無効となります♪(民474条)したがって、乙・丙間に、債務の履行は乙のみがする旨の特約があるときは、甲が弁済しても債務の本旨に従った弁済とはいえないので、丙は受領遅滞の責めを負わないことになりますね(*^▽^*)
民法第474条(第三者の弁済)
Ⅰ債務の弁済は、第三者もすることができる。

Ⅱ弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。

Ⅲ前項に規定する第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合において、そのことを債権者が知っていたときは、この限りでない。

Ⅳ前3項の規定は、その債務の性質が第三者の弁済を許さないとき、又は当事者が第三者の弁済を禁止し、若しくは制限する旨の意思表示をしたときは、適用しない。


【問題2】×

法定責任説では、債権者の責めに帰すべき事由によって受領を拒絶されたことは必要とされていません(*^▽^*)誠実な債務者の救済のために法が特に認めた責任ですので、債務不履行責任説のように債権者に帰責事由があることは要求されていないのですね♪



今日は以上になりますね(*^▽^*)

皆さんお疲れさまでした♪

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(記事編集) http://joshitabiblog.blog.fc2.com/blog-entry-158.html

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